2017年、中国特許・意匠は横ばい傾向、実案出願数は2割増加、審査厳格化の傾向依然続く
中国特許庁から発表された2017年統計速報によれば、2017年中国で出願された特許は内国出願人124.5万件、外国出願人13.6万件;実用新案については内国出願人168万件、外国出願人7786件、意匠については内国出願人61.1万件、外国出願人1.8万件であった。
特許出願において、内国出願人からの出願のうち、83.8%が職務発明で、16.2%が非職務発明であった。外国出願人からの出願のうち、97.8%が職務発明で、2.2%が非職務発明であった。また、個人からの出願数は約20万件、全体の約1/6であった。
実用新案出願において、全体の80.3%が職務考案で、19.7%が非職務考案であった。実案出願のほとんどが内国出願人からのものであり、外国出願人からの出願は全体の0.5%に過ぎなかった。また、個人からの出願数は約33万件、全体の約1/5であった。
一方で、意匠出願においては、全体の56.8%が職務創作で、半数近くの43.2%が非職務創作であった。外国出願人からの出願は全体の2.8%であった。また、個人からの出願数は約27万件、全体の半分弱を示すことになる。
査定件数に関する統計によれば、2017年の特許査定件数は約42万件であった。内国出願人の案件が32.7万件、外国出願人が9.3万件であった。実用新案の査定数は97.3万件、意匠の査定件数は44.3万件であった。
全国のPCT出願件数は50674件、集積回路設計登記申請が3228件であった。
外国出願人のうちの組別内訳、及び技術分野ごとの統計などについてはまだ公開されていない。
<コメント>
中国特許庁の2017年統計速報データから見れば、2017年の特許出願件数は前年から約3%の増加を示している。査定率は当年出願数をベースに計算した(審査期間のタイムラグを無視)した場合、約30%という結果になった。知財大国から知財強国へという考えの元、審査厳格化の傾向が続いていると考えられる。
実用新案においては、2017年の出願件数は前年から約20%の増加、査定率は当年出願数をベースに計算した(審査期間のタイムラグを無視)場合、約58%であった。これは前年の64%からもさらに低下する傾向になり、審査厳格化の傾向が続いていると考えられる。無実体審査主義でありながらも、強化方式審査主義のもと、実案出願の約4割が権利化に至っていないということである。日本企業から見れば、訴訟リスク低減というという側面では、少しほっとできるところであろう。
意匠においては、2017年の出願件数は前年から約6%の増加となり、査定率は当年出願数をベースに計算した(審査期間のタイムラグを無視)場合、約70%であった。出願数が微増する中、査定率に関してほぼ前年から横ばい状態である。